作曲レッスン

『あ〜感動!自分の曲だあ』

お名前 Ms.Y.K. 年齢 35才
学校 / ご職業 玉川大学芸術学部ピアノ科卒 お住まい
受講レッスン 作曲専攻マスタープログラム 専攻 ピアノ
音楽歴、音楽活動等
Ms.Y.K.作曲マスタープログラム:11曲CDR仕上り(祝)後の手記
『 ラ ってどんな感じ〜?』 この私が曲創っちゃうなんて・・・ 今まで曲を創ったという経験は、中学生の音楽の授業くらいだ。 行進曲を作りなさい・・という課題だった。「行進するんだから4拍子だろうなー」とか、単純だからそんな事しか考えない。なんだかわからないまま思いつくままのフレーズを書いた。同じメロディを繰り返したりしてつなげていったら16小節になった。 なんとか格好がついたので提出。そしたら音楽室の掲示板に少しの間、張り出された。ちょっとは形になっていたらしい。 その後、かなりの時が流れ、曲を創った事など、記憶の中にうもれていた。 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
そして昨年、幸運にもsonicに出会い、まだお会いしたこともない沢村先生に、私は大胆にも「ブランクかなりありますけど、また音楽やりたいんですー。自分の曲、創ってみたいんですー!」というメールを送った。 そのころの私は、人生やら、生き方なるものについて、ものすごーく考え込んでしまっていた時期で、精神的に八方ふさがりの状態だった。この際、一から出直しだぃ!と思い、まず好きだったことを何かやろう・・と考えた。多少だけどピアノ弾いてきたから、ピアノでできることをしようと考えた。sonicのホームページには「自分の曲を創れるようになる!」と書いてある。そういえば中学の時に行進曲作ったっけー。と、ここで思い出した。それ以来だなぁ。 ピアノしか弾けないけど、「えぇぃ、やってみよー!!!やってみなくちゃわかんないしぃ〜。だめでもともと。でも自分の曲が創れたらすごいかもー!世界にひとつしかないんだしー」の思いで、すべてが始まった。 レッスン1回目に・・・キーボードで、ドレミファソラシドの音を弾いた。ド・ラーとかド・ラ♭ーとか、いろいろ。 沢村先生が、「ラってどんな感じ〜?」と言った。 私  :「へっ、いやぁ、どんなって言われても・・・・・・」(もじもじしてる私) 先生:「色は?明るい?暗い?目つぶってイメージしてみて・・」 さんざん考えたあげく 私  :「色なら紫かなぁ・・。明るくないです。少し暗いですぅ・・」 先生:「じゃ、ミは?」 また考えたあげく 私  :「オレンジ〜。明るいし、暖かいって感じですぅー」 先生:「じゃ、今の気持ちを紙に書いとこうか」 私  :「あっ、はぁ・・・」
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レッスン終了後、駅まで歩きながら私は、 「うゎー、なんだろー。こんな事したの初めてだなぁ。今までけっこうピアノ弾いてきたのに、ひとつひとつの音にイメージなんてもってなかった。衝撃的だぁ〜。でもけっこう楽しいぞー。それにしても今までなんて無造作に考えもなく弾いてきたんだろう・・・。こりゃヤバイ!」と思った。 その後は、コードを覚えたり(←まったく知らなかったので)、譜面系の事を集中的に覚えたりしたが、そんな中でも、既存の曲の一部分のメロディをドレミで唄ってみて、感じることを言葉にしてみたり、とにかく感じることを一番にしてレッスンが進んでいった。 その瞬間に感じたことを音に、短いメロディにしていくこともたくさんやった。しかも録音までしちゃうんだな・・・これが! 先生:「今のテイク1ね」 私 :「あっ、はい〜」(おぉ、プロみたい!) 先生:「じゃ、テイク2!今度ソから始めて」 私  :「なんかおんなじになっちゃいますー!」 先生:「さっきのは忘れて。過去はすぐ捨てるの」 私  :「はは、はい〜。。。。」 新鮮、新鮮。
32時間集中もあと2回で終わりぐらいのところで、 先生:「 じゃぁ、16小節くらいでなんか創ってきて〜。宿題ね 」 私  :「 ひぇ〜、そっ、そんな、いきなりですか〜? 」 先生:「 うん、どんな感じでもいいよ。よろしくー 」 私  :「 はぁ〜・・・・・ 」 五線紙を前に私はピアノに向かった。 その日は薄曇りだった。 「今日は、色にしたらグレーかな・・・明るい感じではないし、すごい楽しい〜っていう気分でもないし」 「今の私の気持ちってどんなだろう・・・とまどってる、どうしよう、だいじょうぶかなぁ〜」 これが正直な気持ちだ。 瞬間に感じた音をドレミで唄ってみた。これだったら3拍子かなぁ・・・とか、この2小節いいかも〜と思ったら、次が自然に出てきて、つながってまたつながって16小節になった。自分の中でストーリーができた。 「なんかいいかもー」「まぁ、もしだめでも、先生がなんか言ってくれるにちがいない」と思いつつ、フレーズが形に、曲っぽくなったことがうれしかった。 すごい!自分が曲にあらわれてる。これ、私!私以外のなにものでもない。自分そのものだぁ。
次のレッスンで、 弾き終わった私に、先生がすごい拍手をしてくれた。 先生:「すごいねー!わー」 私  :「あぁっっ、ありがとうございますぅ〜」 先生:「曲にはその人のセンスがでるんだよー」 私  :「はぁ〜、そ、そうですか」 先生「で、題名は?」 私  :「えっ・・・」 すっかり忘れていた。考えてなかった。 さんざん時間かけたあげく、やっと浮かんだ。 私  :「んーんーんー、えーと、ためらい・・・・」 先生:「 いいね〜、やっと出たね〜 」(笑) 駅まで歩きながら、 「こんな感じでいいのか〜。よくわかんないけどセンスもちょっとはよかったって事かなぁ」と勝手に解釈して 心の中でガッツポーズをした。 やったやったー!がんばったかいがあった〜!うれしかった。なんだか自信がでてきた。 これで、私は調子にのってしまった。 そりゃ、ほめられればうれしいし、なにしろ「こんな感じでいいんだー」って思ったものだから、次どんどんいっちゃおー! ていうことで、次の週は2曲も創ってもっていった。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 それから私の曲創り生活(←大げさ)が始まった。 よく考えると題材はそこらじゅうにあった。 庭に咲いてる花だったり、自然にあるもの、中学や高校時代の記憶だったり、恋愛中の自分の気持ち、落ち込んだこと、感動したこと、感じたものすべてだ。毎日、生活の中でいろんな事を思い、感じることをたくさんしてるのに、思った、感じた、ていうだけで終わりにしてた。今まで気にしてなかったんだ。で、いろいろ思い出してみることにした。 私は、しまっておいた頭の中のアルバムをめくり始めた。
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〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 その後、私はマスターコース(←まだ何もマスターしてないよ〜って感じだけど)に進み、また大胆にも「今度は創った曲を録音したい!恥ずかしいけど人にも聴いて欲しい!」と夢メールを先生に送った。先生は快く私のわがままを聞いてくれた。 レパートリーの増やし方や、その他いろいろ、「きっと沢村先生からしか聞けないだろうなー」なんていうお話とか数え切れないほどいろんな事や感覚を教わった。 で、創った創った。11曲!題材はいろいろだ。自然をテーマにしたものと自分の感情ものが多い。 で、録音しちゃいました。 あ〜、感動!自分の曲だぁぁぁー!
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 最近は、メロディが生まれる時、独特な感覚になる。 映像と感覚が強く自分に迫ってきた時、あっと思う。その時、階名で唄う!声に出すとリアルだからだ。で、これは続きそうと思ったら、次をイメージするとつながっていく。最近創る曲は、映像がはっきり浮かんでいることが多い。 でも、いつも順調に曲ができたわけではなく、メロディが浮かんでも曲にならない・・なんて事もあった。途中までできても次がどうしても出てこないとか、どこかで聴いたようなメロディになっちゃった時などは、自分にダメ出しをして、捨てる。ピュアじゃないからだ。 ピュアな感覚は色で言えば、透明。だとするとダメな時は、きっと自分の感覚が透明じゃないからだ・・と思ったりする。 また、創っている間は、他のCDとかを聴かないようにしている。自分の感覚だけを信じたいからだ。 創り終わったらがんがん聴く。一生懸命聴く。流し聴きはしない。 無意識に聴くと少しずつ透明な感覚に色がついて積もっていくから。(と思っている。これは私だけの感覚だと思う) それと、創っている間は自分と真正面から向き合わなくてはいけなくなるのでパワーがいる。(ように思う)でもすごく深くて、できた時は、もう、この上なくうれしい!という感じになる。
最後になるけれど、作曲っていうと、すごい大変そう!なイメージがある。 でもsonicでは、私はそうは思わなかった。作曲法なんていう理論を分厚い本かなんかを見ながらやってたら、それはめちゃくちゃ大変だろうと思う。いつまでも「どうやって曲つくるの?」ていう状態だ。 すべては「感じて唄う!」 これをすると、感覚として気づくことがたくさんあるのだ。唄えれば、表現できる。楽器は表現の手段にすぎない。 自分の声は生だから、微妙なニュアンスも自分でわかる。このことは曲創りにかぎらないかもしれない。
沢村先生は、曲の作り方を教えてくれたのではなく、気づきというか目覚めさせてくれたのだと思う。瞬間のイメージをピュアに音にする、いや音になるという感覚を。きっとそれは皆がもっているのに気がついていないだけ・・なんじゃないかと思う。 作曲っていう言葉はイメージがすごすぎるから、しり込みしちゃう人が多いんじゃないかと思う。私も、作曲っていうよりも「曲創り」っていう感覚でいる。あまり重いイメージじゃなくなるから。 私は、この1年sonicに通いながら曲を創ることで、精神的な意味での自信もついた。1年前の落ち込み状態はうそみたいだ。 曲を創る事はもちろん、宿題や練習に取り組む時間は本来の自分そのままでいられるし、そういう時間から生み出されたいろんな何かを沢村先生が大事に聴いてくれて、拍手してくれたり、感じたイメージを話してくれたり、さらにプラスになることも教えてくれたりするのだから、自分の中で小さな自信みたいなものが少しずつ大きくなっていく。これでいいんだなぁーって思える。 そんな感覚になるのがすごくうれしいと思う。
沢村先生に、いつも感謝している。今の時代、こんな 『すごい!』ていうか 『 器が大きい 』人になかなか出会えないと思う。 すべては先生の 『ラ ってどんな感じ〜?』 から始まったのだから。Y.K.

貴重な体験談をどうも有り難うございました。沢村満